高麗人参の栽培年数
高麗人参といえば漢方薬や健康食品などで有名な植物です。
人参とは言いますが、一般的によくカレーやシチューなどに使われている人参とは全く異なり、栽培にかかる年数すらも異なります。
具体的に何がどう違うのか、ご紹介します。
栽培年数の違いについて
高麗人参の栽培には非常に長い年数がかかります。
下準備としての土作りに1年から3年、加えて種を撒いてから育てて収穫が可能になるのは4年から6年もかかるのです。
では、4年も6年もしないと高麗人参の収穫は本当に出来ないのでしょうか。年数ごとに見ていきましょう。
1年
土作りを済ませて種を撒き、育てて1年目の高麗人参はごく細い根っこが少し出来てきます。また、葉柄という木でいうところでの枝にあたる部分が出来て、葉も1枚生えてきます。
この段階でも一応収穫は出来ますが、収穫したところで意味がありません。
1年ではまだ細く小さな根もたくさん生えていて、人の歳にして大体3歳くらいの高麗人参です。まだ栄養もなく、可食部分もほとんどないも同然のため料理でも薬でも利用したところであまり良いものとは言えません。
2年
2年目になると、葉柄は2つになり、葉も2枚生えてきます。細根もほとんどなくなり、主根部分だけになります。
大体人の歳で8歳に相当し、なんとなく高麗人参の形が出来ているのかな? と思えるくらいには基礎が出来ています。
この年数でもまだまだ収穫には適しません。ですが、細かく切っててんぷらにして食べる方はいるようです。
食感は大体ごぼうと人参を足して2で割ったような感じで、香りは特になく生のままでは食べるのは困難と言われています。
3年
3年目になると葉柄も3つ、葉っぱも3枚生えます。
葉柄もしっかりしてきて、主根と枝根にはっきり分かれます。形もよく知られている高麗人参のものになってきていて、ひと目見て分かるくらいになります。
人の歳で言うと13歳です。そろそろしっかりしてきているので、まだ若いものではありますが食用として用いられることが多いです。
薬用として用いるには、含有成分であるジンセノサイドの量が少ないため、一般にうたわれるような効能は期待できないため、基本的に使われることはありません。
ちなみに、食べ方としては煮たり炒めたり、お酒やハチミツに漬け込んだり天ぷらにしたりと、基本的に漬けるか火を通して食べるかします。普通の人参と同じような使い方をします。
4年
ここまで来るとようやく一人前と言えます。
葉は4枚、葉柄も4つになり、主根もより太くなり、枝根は細く数も多く、葉っぱもしっかり茂ります。ようやく花も咲きます。
一般的に健康食品や漢方として使われだすのはこの4年根からで、食用としても生薬としても、通販サイトなどで並びだします。
秋から冬にかけて、長野では天ぷらとして食されているようです。他にも東京や名古屋といったエリアの高級料亭や和食のお店などでも、もっちりした食感でほろ苦さを持つ季節料理としても提供されているとのことです。
甘さと苦味のバランスが最もいいのもこの年数の人参なので、大抵の食用の高麗人参は4年ものであることが多いようです。
薬用としての効能は、高麗人参特有成分であるジンセノサイドもしっかり含むようになってきているため、精力増強やホルモンバランスの調整といった効果も期待できるものになっています。
人の歳で言うと16歳にあたり、まだ若さは残れどしっかりしてきた歳と言えるでしょう。
5年
5年ものは5つの葉と柄が形成され、人の形によく似た姿になります。
4年ものに比べてジンセノサイドの量も1.5倍になり、より効果・効能の強いものとなっています。
ただし、高麗人参は3年目以降は病害虫に対する抵抗力がガクッと落ちてしまい、売り物に出来なくなってしまう可能性があるため、一般的には収穫可能になるすぐの4年目か、しっかりと管理を徹底した上でより価値を高めるために6年目での収穫をされることが大半であるため、5年ものはそれほど出回っていません。
6年目のものに比べると成分の含有量もそれほど変わらず、6年目よりも安価に購入することが出来ます。ただし出荷数の少なさを理由に逆に高価になるパターンもあります。
また、同じ5年根と言っても物によってはサポニンなどの栄養素の含有量にばらつきが出るため、必ずしも6年物とほとんど同じとは言えない可能性もあります。
人の歳に換算すると大体19歳くらいです。一人前までもう少しです。
6年
6年ものの高麗人参は最もポピュラーなものでしょう。
葉も柄も6つ、見た目は完全に一般的な高麗人参の形になっています。
人の歳にして23歳。まさしく世に出る頃と同じくらいです。
健康食品や生薬としても流通しているもので数が最も多いものだと思われます。逆に食用としてはそれほど使われていないこともあるようです。
理由として、高麗人参の栄養素を含むピークは6年根だといわれています。そのため高い効果を期待されて収穫された6年ものの高麗人参は、値段のこともあってかおいそれとは食材にしにくいのでしょう。
とはいえ、全く食べないわけではなく参鶏湯などに入れたり炒め煮にしたりして食べる方はいるようです。
薬としてはよく使われる素材です。カプセル状にされたり粉末にされたり、エキスのみを抽出したり酒に漬けて薬用酒にしたりと様々です。
よく宣伝されている高麗人参を使用した製品はこの6年根であることが多いようです。
7年以上の年
7年目以降、10年目まで一応高麗人参は栽培できるといいます。
しかし、収穫に最適な時期である6年を過ぎてしまうと高麗人参の栄養素はどんどん減っていきます。
見た目も変わり、つるつるしていた根の表面は徐々に硬くなり、木の皮のようにごつごつとして水気も失われていきます。
また、紹介してきた通り、高麗人参は1年ごとに葉が1枚生えます。しかし、6年を超えても葉は6枚以上は生えてきません。
このように年数が経つごとに葉が増えることで、外見から何年目なのかが分かる植物というのは珍しいものです。
何年ものの高麗人参が最も良い?
利用用途によって、何年ものの高麗人参が良いというのは変わってきます。
食用ならば栄養もあり適度な甘さも残る4年根。
薬用ならば特有の成分であるサポニンやジンセノサイドの含有量がピークにくる6年根。
気にしないのであれば、食用には4年よりも若いものを使うのもアリかもしれません。
ただし、栽培年数はあくまでも目安にしかなりません。
高麗人参にはランク付けがされていたり、加工方法によっては期待出来る効能も変わってくるからです。
ただ6年根だから良いものだと思い込まず、よく調べてからの購入をオススメします。