高麗人参についての基礎知識

高麗人参の加工法

高麗人参はただ収穫してそのまま使うのではなく、いくつもの手間や工夫が必要とされます。
今回は高麗人参の加工法についてご紹介します。

高麗人参の加工の種類

高麗人参の加工の種類としては、紅参・白参・水参などといったものがあります。
それぞれ紹介しましょう。

紅参

おそらく最もよく耳にするであろう加工高麗人参の呼び名が「紅参」でしょう。
読み方は「こうじん」「こうさん」「べにさん」です。

収穫した生の高麗人参の皮を剥がさずに水蒸気で蒸し、乾燥させたものを呼びます。
見た目に色が赤く見えるため「紅参」と呼ばれています。
乾燥させた後に、高麗人参の中の水分量が14%以下のものと厳しく定められています。

高麗人参の皮やひげに特にサポニンが含まれており、このサポニンこそが高麗人参の最大の特徴とも言える栄養素です。皮を剥かずに処理しているのはそのためです。

更に、一度蒸したことで栄養素も消化・吸収しやすいようになっていることや、保存が利くこと、副作用が軽減されることなどの利点があるため、高麗人参を摂取するには紅参が最も良いといわれています。

処理の手順の一例としては、収穫→洗浄→加湿→天日で乾燥→精製→選別→加水→加温→養分抽出→包装→出荷となります。

なお、同じ紅参でもランク別に選別され、そこでもまた更に呼び名が変わります。
それぞれ天参・地参・良参・切参・尾参とランクがつけられます。

天参(てんさん)

天参は選ばれるための条件もとても厳しいものです。

まず脳頭と呼ばれる、人参の頭の部分が、人参の胴体でもある主根の太さと同じか、ほぼ近く健康的な色合いで丈夫であることが求められます。

続いて、主根の部分が3.5cm以上で、亀裂や傷がないことが前提になります。

また、主根に繋がっている太い根である枝根は1つ以上あり、よく発達していること。加えて亀裂が根の長さの3分の1以下にとどまっていること、かつ長さが主根の長さの4分の3以下であることが必要です。

そして、最後に内部組織です。身がよく締まっていて堅固で、脳頭の下10mm以下の部分を斜めに切断する時に人参の内部に開いている穴(内空)と、中の白い部分(内白)のそれぞれの直径が0.5mm以下、かつ長さも10mm以下でないといけません。

これだけの条件を満たして、初めてその高麗人参は天参というランク付けがなされるのです。
6年根の総生産量の内0.5%しか選ばれないといえばその価値の高さも分かるでしょうか。

地参(ちさん)

次点で高いランクを持つ地参は内面と芯がほとんどない良品とされています。
天参からランクは落ちはしますが、これもまた上位2%の限られた高麗人参です。

良参(りょうさん)

三等級の良参は、地参の次で内容の組織が若干弱め、かつ見た目も少し劣るものです。しかし良質ではあります。

切参(せっさん)

次の等級の切参は、良参よりも劣り、かつ胴体を二等分して包装したものです。良いとこどりというわけですね。

尾参(びさん)

最後は尾参です。人参の胴体部分以外で大尾・中尾・細尾などに分けて選別したもので、ひげ根をとって干したものになります。


全て同じ紅参ではありますが、更に細かく分別されているわけです。
含む栄養素の違いはありませんが、見た目が良いか悪いか、内部組織がみっちり詰まっているかいないかの違いがあるわけです。

なお、利用用途としてはエキスの抽出、粉末にする、それをカプセルに入れる、お茶にするなど様々な使い方があります。

白参

読み方は「はくじん」「はくさん」です。
高麗人参の皮を軽く剥き、そのまま日光に当てて乾燥させたものをいいます。
原型はそのままに、水分の含有量は14%以下になるようにした加工品です。

これもまた長期保管が可能になっていて、主な用途は薬剤、もしくはお茶としてが多いです。

あまり日本では用いられないものですが、中国や韓国では料理にもよく使われています。有名なものとしてはサムゲタンや、ハチミツに漬け込んだものなどがあります。

紅参と比べるとサポニン量は減りますが、手早く流通させることが出来るため加工されています。

主な産出国としては中国で、国産のものはほとんどないといわれています。

水参

読み方は「すいじん」「すいさん」です。
収穫して何もしていない、そのままの高麗人参のことです。

加工されていないので乾燥もしておらず、水分量も75%以上と一般的な野菜などと変わりません。そのため長期保存は出来ません。

日本では健康食品として主に用いられていることから、あまり見かけることもないかもしれません。漢方の薬剤として使われることもないです。

ですが韓国では一般的に知られている「高麗人参」というと、この水参を指します。

大体春の終わりから秋の始めにかけて流通しているらしく、料理などによく使われることが多いようです。

料理レシピとしてはサムゲタンや、天ぷらなどにして食べることが多いようです。
他にも普通の人参のように炒めたり煮たり、お酒に漬けて高麗人参酒にもするようです。

黒参

読み方は「くろじん」「くろさん」「こくじん」です。
紅参の一種ではありますが、一般的な紅参は一度蒸して一度乾燥させて完成するのに対し、黒参は3回・6回・9回もの回数、蒸して乾燥させることを繰り返したものです。

皮からエキスが漏れ出さないように、焼け付かないようにと細心の注意を払って加工される黒参は、通常の紅参に比べてサポニンの含有量がなんと5倍から10倍にまでなるといいます。

古くは韓国の朝鮮王朝で、王室の秘宝とされていた黒参は完成するのに50日間という長い時間を要し、完成させるのも難易度が高かったため王様だけが飲用するのを許されていたといいます。

特に最大数の9回蒸して乾燥を繰り返したものは「九蒸九暴」と呼ばれ、黒参の名前の通り真っ黒に染まります。これは決して焦げたり炭になっているわけではなく、中に含まれている成分が工程の途中で化学作用を起こすために黒くなるのです。

太極参

読み方は「たいきょくじん」です。
収穫した高麗人参をよく洗い、70℃~90℃くらいのお湯で10分~25分ほど茹でてから乾燥の工程を踏んだものです。

少し茹でたためなのか、内側と外側全てが赤い紅参と違って表面が薄い茶色、中身が赤という色合いをしています。

真空包装にすると、常温で10年程度の保存が可能になります。

韓国で専売されていた際に、民間向けに発売されていたもののようで、現在でも輸出用として作成されているようです。
紅参に比べて効能に違いはそれほどありませんが、安く手に入るのが特徴です。

基本的に煮込んで食べたり、煎じてお茶にして飲んだりしますが、そのまま直接食べる人もおられるようです。

銀皮参

韓国の土産市場などでよく売られている高麗人参ですが、その中に銀皮参と呼ばれるタイプのものが混ざっていることがあります。

見た目には表面が黄色っぽく乾燥していて、木の皮のように見えます。内部の空洞も大きく出来ていることがあります。

この手の高麗人参は購入するのはオススメしません。

普通、高麗人参の表面は大根のように表面がつるつるしています。このように木の皮のようになってしまっているものは、ほとんど高麗人参特有の成分も含まれていない劣悪な製品です。

たとえいくら安くても、買うに値しません。安いからとすぐ飛びつかず、一度よく見てみましょう。

まだまだある、高麗人参の呼び方色々

他にも、乾燥の仕方や高麗人参の形によって色々呼び名が変わってきます。

直参

皮を剥かず、真っ直ぐになるように乾燥させたもの

曲参

皮を剥かずに太い尾が曲がるようにして乾燥させたもの。形によっては「半曲参」と呼びます。

童子参

赤ちゃんの姿に似た形をしている高麗人参をそう呼びます。

陰陽麻

男女の生殖器に似ている形の高麗人参をそう呼びます。

これら二種類の高麗人参は昔から特に縁起が良いものとして選ばれています。

他にも鳳凰の形に似ていたり、龍が虹に乗って空を飛んでいるような形のものや、亀の形に似た形のものなど、おめでたい生き物を模したような形をしている高麗人参は特にありがたがられてきました。

現代においても、縁起担ぎに良いと思われます。もし特に良くおめでたい高麗人参を求めているようでしたら、こういった形の高麗人参を探してみるのもいいかもしれませんね。

まとめ

結局この中でどれが最も良いのでしょうか。

基本としてはやはり多くのサポニンを含み、流通量も比較的ある紅参が良いと言えるでしょう。加えて6年根の天参であるとベストです。

ですが、あくまで薬用としての利用用途で良いのであり、食用の場合は白参の4年物などが良いと思われます。

黒参は紅参よりも良いものと思われますが、流通量が更に少なく、日本では手に入りづらいことも考えるとおすすめし辛いところです。

利用用途に合った高麗人参を用いることで、より健康な体を目指しましょう。

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